これからの福祉『住民流助け合い起こし』講演会レポート
最近孤立死のニュースが多いです。
厚労省は、病気や障害の方も安心して地域で暮らせる体制作り「在宅医療・介護あんしん2012」 http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/01/dl/tp0118-1-67.pdf (1~7頁、PDF))をスタートさせました。
3月24日、公民館の講演会『住民流助け合い起こし』に参加しましたので、レポートします。
講師は住民流福祉総合研究所長の木原孝久氏。著書多数で、テレビにも出演し、講演や福祉計画支援で全国を飛び回っています。
厚労省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」メンバーでもあります。
1.はじめに
・福祉は、自助(自分の命を守る当事者努力)、共助(地域住民の助け合い活動)、公助(公私の専門機関によるサービス)の協力で成り立つ
・ところが最近、三者の協力関係が崩れている。
・自助は介護保険などで公助に依存、公助も素人の共助の手を借りない。結果、共助は弱まり、公助が多忙になり、社会福祉にお金がかかり、国民負担は増加する一方。
・協力関係修復のカギは「共助がどれだけ元気になるか」となる。
2.まとめ-今までの日本文化とこれからのあり方-
(1)足元で困った人がいる時の反応は、頼まれなくても助ける20%、頼まれたら助ける70%、その他10%。一方、何か困った時周りの人に「助けて!」と言えるのはたった5%。95%は言えない。
(2)プライバシー優先。引きこもり社会。
(3)他人に迷惑をかけるな(私もです)、他人を詮索するな、と教えられてきた。
(4)これからは「助けて!」と言える社会へ。地域で助け合い。
(5)助け合いが始まる為に必要なこと。
・助けられる側は、自分をオープンに→「助けて!」と言う→迷惑かけ
・助ける側(今でも出来る人=世話焼きさんはいる)は、周りの人に関心→お節介→こじ開け
・世話焼きさんとは?
→困った人がいたら気になる、すぐ関わる、相手から見込まれる、人間大好き、助けられ上手でもある
・支え合いマップを作り、要介護者支援や孤立死対策
・関係者流(担い手主導)→住民流(当事者主導)
(6)以下を大切にしたり、増やしたりすると暮らしやリタイア後の生活が豊かになる。
・家庭(施設から戻る)・夫婦
・趣味・学習
・健康
・お金・仕事
・社会活動
・友達(ペット含む)
3.自助を元気にする為の5段階の行動
・福祉の主役である当事者が、その自覚を欠いて、抱えている問題を隠したり、支援を求めず引きこもると、担い手はやりにくい。当事者は「助けられ上手」になろう。
(1)私は福祉の当事者だ
・まず自身が福祉問題を抱えていることを自覚する
・問題を抱えていることは恥ずかしくない
(2)自力や家族で解決
・家族や親族だけで解決しようとせず、周りの支援を求めることも大切
(3)同じ仲間と助け合い
・自分の問題を隠さず、オープンにする
・同じ問題を抱えた同士とグループをつくり、助け合う
(4)周りに助けを求める
・向こう三軒やご近所の人たちに
・助け手を自分で掘り起こす努力もする
・日本人の多くは助けられ下手さん
(5)公的サービスを依頼
・サービス依存症になる前に、地域の人の支援で解決できないか
4.共助を元気にするために
(1)自分はどの圏域で活動するのか?
地域には5つの圏域がある。
大事なのは、当事者が発信した「SOS!」をすぐに受け止め、各圏域の担い手が協力し合い解決すること。
a.向こう三軒両隣(5世帯)
・福祉問題が最もよく見え、それによく気づく人がいる
・問題を上の圏域にどう伝えるかが難題
b.ご近所(約50世帯)
・問題をご近所で主体的に解決
・ご近所は福祉活動の最重要圏域
・天性の資質の世話焼きさんを柱に体制作り
c.町内(約300世帯)
・問題発生のご近所に出向くが、問題を引き取らず、ご近所で解決してもらう
・難題は、上位圏域に持ち込む
d.校区(約3000世帯)
・ご近所活動支援や町内の後押し役
・その為に行政や専門機関と連携を
e.市町村(約3万世帯)
・公私の機関が連携し、共助の応援を
・住民の手に負えぬ難問を解決へ
・サービスを住民の手に返していくことも
(2)「安否確認」から「介護」まで担う
・介護保険等の施策が整備され、住民は見守り程度に後退した?
・1人暮らしの高齢者の困りごとがある。まずそこから取りついたら?
・介護はプロの領分と割り切らず、「自分たちも担おう」という意欲を
・「自分が要介護になっても地域で生き続けたい」と願うことが先決。そうすれば「今は要介護の人を支えておこう」という気になる
・「求められたら」ではなく、積極的にプロの領分に踏み込んでいく
a.安否の確認
・本人は誰に見守れたいのかを確認
・実質的に見守っているのは誰かを探す
・異変に気付いたら、どのルートで伝達するか
b.困りごとに対応
・誰にも困りごとがあるはず
・それに気付き、活動を起こすのも天性の資質
・その人を探し出し、後押しを
c.介護まで
・地域で生きたい要介護者を皆で支えよう
・介護者のサポートならできるはず
・介護経験のある主婦や元看護師を生かそう
d.もっと豊かに
・要介護でも趣味を楽しみ、サロンに参加したい
・地域のグループが入れてあげればいいこと
e.危機的難問
・複雑な問題を抱えた家庭がご近所ごとにある
・関係機関で解決チームを作って対応を
・あくまでご近所の人たちと一緒に取り組む
(3)住民総参加の「共助」にするために
・住民総参加の共助にするにはボランティアのあり方を変えねばダメ
・各自が、生活の接点で、または本業に勤しむ中でできてしまうあり方を
・地域社会と、それを構成する組織の重なり部分が地域活動のチャンス。たまたまそこで出会った困りごとに、その場で関わればできる。
・重ならない部分は、「身内への活動チャンス」。家庭なら「家庭なら夫の地域デビューの支援」、学校なら「いじめられっ子を皆で守る」とか
●地域社会を構成する組織(地域社会と重なる部分から福祉問題が発生)(順不同)
a.家庭:夫の地域デビュー支援
b.企業(職場):老人客の商品選びの手伝い
c.公共機関:窓口で「粋な計らい」
d.趣味グループ:認知症の人も入れてあげる
e.自治会:町内清掃で老人宅のゴミ出し
f.婦人会、老人会:要介護仲間をサポート
g.学校:いじめられっ子を皆で守る
5.共助と公助が協働するために
(1)まず「専門家」と「素人」の垣根を取り除こう
・まず「福祉は専門機関が担えば絶対」「住民はあくまで素人」という考えを改めよう。そうでないと「住民と協働」という発想自体が生まれない
・「住民とプロが活動を棲み分け」という考えもおかしい。両者の役割の線引きをするよりも、できるかぎり住民の力を生かすという姿勢が大切
・関係者による「食事サービス」よりも、お隣さんによる「おすそ分け」の方が、住民の感覚に近い
・共助←→公助
a.共助
・サービスが入っている人でも、積極的に関わっていく
・サービスの対象外のニーズがあるはず
・要介護なりに豊かに生きるのを支援するのも活動。その多くはサービスの対象外
b.公助
・個人情報保護の壁を乗り越えて、住民と一緒にケア会議を開催したら?
・住民と一緒に、支え合いマップづくりをして、住民がどこまで支えられるか調べよう。
・既存のサービスを住民の助け合いに戻していくのも大切。ゴミ出しまでヘルパーにやらせるようでは、共助は育たない
・サービスも助け合い型に戻していこう
(2)住民の流儀を体得しよう。では住民流とは?
・介護保険等の施策が整備され、住民は見守り程度に後退した?
・1人暮らしの高齢者にも困りごとがある。まずそこから取りついたら?
・介護はプロの領分と割り切らず、「自分たちも担おう」という意欲を
・「自分が要介護になっても地域で生き続けたい」と願うことが先決。そうすれば「今は要介護の人を支えておこう」という気になる
・「求められたら」ではなく、積極的にプロの領分に踏み込んでいく
a.相性が大切
・住民は相性の合う者同士がふれあっている
・見守りやサービス活動も相性を大事に
b.天性の資質を尊重
・地域では生まれもってその資質を持った人(世話焼きさん)が中心になって活躍している
・肩書より資質を大事に役割を貼り付ける必要が
c.双方向の関係に
・一方方向のサービスを住民は嫌う
・「おすそわけ」はお返しができるから好まれる
・受け手にも担い手の機会を提供することが大切
d.活動は隠し味で
・いかにもサービスをしたというあり方はダメ。受け手が助けられたことに気付かないのがベスト
e.私的、個人的活動
・社会的に取り組むのがいいとは限らない
・住民活動の多くは私的活動。だから見えない
・また住民は組織的活動より個人的活動を好む。日常生活の中での活動は、結局そうなる
6.ご近所活動・ニーズ発掘と取り組みのコツ
(1)福祉問題をどうやって発掘したらいいのか?
・人々が集まる場では、だれかがさりげなくグチを出している。それに取りつく
・町内会やJA、老人くらぶでもメンバー特有の福祉問題がだされているはず
・各自の家族内でも、お互いに何らかの悩みを抱えている
・福祉問題がよく見える人がいる。その人が見つけた困りごとに取り組む
・誰かの困りごとを解決するため行動を起こすと、またそこへ困りごとが近寄ってくる
・自分の困りごとを気軽に言える人がいる。その人から沢山の困りごとが発信される
・本人が気づいていない問題もある。まわりが推測してあげることも必要
・「安心安全」だけでは物足りない。要介護でも豊かな生活を送れるのが福祉だ
・迷惑な人、面倒をかける人をこそ救わねば。福祉は助ける相手に条件をつけない
(2)福祉問題をどうやって解決したらいいのか?
・問題が見つかったら即行動が鉄則。組織を作って等と先延ばしするのはダメ
・それに取り組むのが一番適している人はだれかを考える。本人が見込んだ人とか
・自分一人では負担が増す一方。誰と誰に分配したらいいかをいつも考えること
・助けてもらえば、大切なプライドがつぶされる。だから、a.活動はあくまでミエミエでなく、さりげなく、b.相手も「お返し」ができるように、心がける
・本人はどのように解決したがっているかをよく読んで、対応を考える
・難しい問題は関係機関と一緒に取り組む。プロが入ったから手を引くのでなく。一つのご近所に2、3件は必ずある。住民の役割も必ずある
・自分が困った時、人に助けを求めることができない-これが助け合いの最大の問題。人に助けてもらうことで、助けられる側の気持ちが良く分かる。だから、活動者こそ人に助けてもらうことで、助けられる側の気持ちが良く分かる。だから、活動者こそ人に助けてもらう体験が欠かせない
7.助け合いクイズ
(1)あなたの「おつき合い」のスタイルは?
以下の項目の中で、「はい」と言えるものがいくつありますか?
a.自分や自分の家族のことはあまり人に知られたくない
b.自分のことが井戸端会議でうわさされるのはイヤだ
c.人に迷惑をかけることだけは絶対にしたくない
d.人に悩みを打ち明けられても、口外しないようにしている
e.相手のプライバシーは尊重するのが私のモットーだ
f.困っている人にはお節介と言われない程度に関わっている
g.人のことはなるべく詮索しないようにしている
h.だれかが認知症だと気付いても、だれにも言わないようにしている
i.引きこもりの人が孤立死しても、自己責任だと思う
j.隣人とはあまり深入りせず、浅いおつき合いを心がけている
(2)あなたの「助けられ上手」度は?
以下の項目の中で、「はい」と言えるものがいくつありますか?
a.自分に向けられた善意は素直に受け入れる
b.助けられたら「すみません」でなく「ありがとう」と言う
c.自宅に他人を受け入れることに抵抗がない
d.「私は認知症」「息子が精神障害」などと周りの人に言える
e.寂しい時は「さびしい!」と言える相手を見つけてある
f.気軽に「助けて!」と言える相手を見つけてある
g.頼りになる世話焼きさんをつかまえてある
h.今のうちにたくさん、人に尽くしておこうと思っている
i.助け合いを目的としたグループに加入している
j.所属している趣味グループや老人会で助け合いを仕掛けている
8.関連リンク
ホームページ(支え合いマップ早わかりや著書など、多くの情報があります)
住民流福祉総合研究所
最後までお読みいただき、ありがとうございました。長文失礼致しました。
このレポート公開は、住民流福祉総合研究所許諾済です。







最近のコメント